2023/11/22 21:23

日本では1970年代初期に兵庫県の但馬地方を最後に絶滅したコウノトリ。
兵庫県の豊岡市は、1985年、コウノトリをロシアから幼鳥を譲り受けたのを契機に飼育をスタート。1989年以降、順調に増殖が進み、1999年に、野生復帰の拠点施設「コウノトリの郷公園」を開園。
2001年には飼育数が100羽を超えたことから野生復帰の気運が高まり、試験放鳥が行われるようになりました。同時に、コウノトリが自立してエサを確保できる豊かな水田環境をつくるため、全国から有機農業の実践者や研究者を招いて勉強会を重ね、地域の篤農家とともに地域にあう「コウノトリ育む農法」を開発させました。限りなく「有機」に近づけるその農法は、農家の皆さんの苦労が求められます。「農家の生活とコウノトリの、どっちが大切なんだ?」と、地元農家からこんな声もあがるなか、根気よく1軒1軒の農家と話し合いを続け、時間をかけて同じ方向に向けていけるよう動かれたのが、兵庫県の職員であった西村いつきさん
(現在 兵庫県農林水産技術総合センター次長)

その西村いつきさんを7年ほど前に桑原にお招きしたことがありました。
「コウノトリ育む農法」の講演会をお願いしたのです。
桑原の水田地帯にもご案内したわけですが、そのときに、西村さんがおっしゃったのが冒頭の「もう少し広ければ、コウノトリが飛来して~」でした。食欲旺盛のコウノトリを満足させるためには広大なエサ場がないと、ということですね。それでもご案内していた我々にとっては自信を与えてくれたひとことでした。
たとえ、狭くても、豊かな生態系がここにあるということを、改めて実感させられたわけです。
「めだか米」も「コウノトリ育む米」に負けてはいられません。